ハウスメイキングラボ(住宅コラム)
Vol.74 蓄電池の補助金は?葛飾区・江戸川区・足立区と国や東京都の助成制度【2024年版】
電気代の高騰や大規模な自然災害の多発、省エネ意識の高まりなどを受け、近年は自宅に太陽光発電システムを導入する家庭が増えています。太陽光発電は、蓄電池があればメリットが2倍にも3倍にもなります。2024年は蓄電池設置への補助金制度も充実していることから、新築やリフォームで導入を検討してみてはいかがでしょうか。
本記事では、蓄電池を導入するメリットとともに、国や東京都、葛飾区、江戸川区、足立区の補助金制度をご紹介します。
家庭用蓄電池とは?
家庭用蓄電池とは、電気を貯め、必要なときに給電できる一般家庭用の設備です。
家庭用蓄電池の種類
一口に「家庭用蓄電池」といっても、その種類はさまざまです。まず、電池の種類はリチウムイオン電池や、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、NAS電池などに分けられます。主流なのはエネルギー効率の高いリチウムイオン電池ですが、寿命の長い鉛電池を採用しているメーカーも見られます。
おすすめの蓄電池
家庭用蓄電池のなかでもおすすめなのが、太陽光発電システムやHEMSと連携できるタイプです。蓄電池は、電力会社から購入した電気も貯めることができますが、太陽光発電と併用することでさらに節電や災害時のライフライン供給に貢献してくれます。
一方、HEMSとは、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System)の略称です。住宅で使用している電気と発電している電気を調整して、効率的に電力エネルギーを活用することを目的としています。HEMSと連携した蓄電池は、蓄電の状況や使用電力などの確認、遠隔操作、制御などが可能です。
家庭用蓄電池の容量
家庭用蓄電池の電池容量もさまざまで、1〜15kW程度が一般的です。蓄電池の容量を選ぶときには、利用方法や目的、世帯数、太陽光発電量などから逆算して考えてみましょう。
環境省によれば、1世帯が1年に消費した電力は1年で4,175kWh(令和3年度 )。つまり、1日に平均10kWH以上、消費していることになります。ただし、エリアや季節、世帯数などによっても消費電力は変動します。オール電化かガスなどの他のエネルギーを併用するかによっても必要な電力は異なるため、家庭用蓄電池はメーカーや工務店に相談しながら選ぶことをおすすめします。
太陽光発電と家庭用蓄電地を導入するメリット
蓄電池は、太陽光発電システムとセットで導入することで、その価値や用途は一層広がります。
電気代が節約できる
近年は、あらゆるものの値段が上がっています。電気代高騰に際し、2023年から継続していた国による電気代補助金は24年5月に終了。電気代は毎日使うものであり、節約ばかりを考えていると熱中症になってしまったり、ストレスが溜まってしまったりするおそれもあります。
太陽光発電と蓄電池を導入すれば、エネルギーを創ることができるとともに、電気代が安い夜間の時間に電気を貯め、昼間に利用することもできます。
電気の活用用途が増える
太陽光で発電した電気のうち、家庭で使用しなかった分は電力会社に売電できます。
蓄電池を設置している場合、太陽光発電によって発電した電気を電力会社に売電する場合「ダブル発電 」として計算されます。このため、通常太陽光発電の売電の価格は値引きされてしまいます。しかし、W発電と認められた場合、深夜の買電価格が安くなるのです。ですから、深夜の電気料金が安い時間帯の電気を蓄電池に蓄えておき、翌日の日中に活用することで、昼間太陽光発電で発電した電気をそのまま売電することができます。
蓄電池を設置し、ダブル発電の料金で買電をすることで、光熱費を抑えながら通常よりも売電収入が得られるため、おすすめです。
災害・停電に備えられる
「太陽光発電だけ」「蓄電池だけ」でも災害や停電に備えられますが、エネルギー創出の仕組みがなければ貯まっている電気しか使用できず、貯まっている電気がなければ災害直後に電気を使用することはできません。しかし、太陽光発電と蓄電池を併用すれば、災害後、すぐに電力を使用できるとともに、電力の復旧まで時間がかかってしまった場合もスマートフォンを充電したり、夜間に明かりをつけたりすることができます。
2024年は、太陽フレアによる停電も懸念されています。大規模な地震や水害もいつ起こるともわからない状況のため「創エネ+蓄電」で住まいのレジリエンスを高めましょう。
【2024年】葛飾区・江戸川区・足立区の蓄電池の補助金
ここからは、葛飾区・江戸川区・足立区が利用できる区・都・国が主体となって行っている蓄電池設置への補助金制度を紹介します。
①全国共通
■子育てエコホーム支援事業
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者世帯が、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や省エネ改修などに対する支援制度。セイズは、同制度が利用できる「子育てエコホーム支援事業者」です。
- 子育て世帯:申請時点において2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯
- 若者世帯:申請時点において夫婦でありいずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯
なお、子育てエコホーム支援事業では、ZEH水準の性能を有する住宅の新築・分譲住宅の購入で最大80万円/が補助されます。太陽光発電や蓄電池を導入すれば、ZEHの実現も可能です。
※参考:「ZEH」とは?補助金・住宅ローン控除について【2024年版】
・対象製品
定置用リチウム蓄電池のうち、一般社団法人環境共創イニシアチブにおいて令和4年度以降、登録・公表されている蓄電池システム
・補助額
64,000円/戸
・期間
- 対象工事の着手期間:2023年11月2日以降
- 交付申請期間:2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)
■家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR補助金)
2050年のカーボンニュートラル、2030年のエネルギーミックス達成に向け、再生可能エネルギーの導入・活用を後押しするための事業。申請代行者(販売事業者)を通して申請します。
申請代行者:SII「申請代行者(販売事業者)検索」
・対象製品
蓄電池部、電力変換装置、計測・表示装置、筐体及びその他構成に必要な機器から構成されるシステムで、一つのパッケージとして取り扱うシステム。補助対象となるものは事前にSIIに登録された蓄電システムのみ。
登録製品:SII「蓄電システム製品一覧」
・補助額
3.7万円/kWhを基準に、設備費・工事費の1/3以内かつ60万円を上限。以下の項目における評価基準を満たす蓄電システムは単価増額
項 目 |
評価基準 | 増 額 |
ラベル | JISC 4414の規格に準拠し、ラベル表示があること(カタログやHPに表示も可) |
0.2万円/kWh |
類焼性 |
以下、推奨項目を満たす
|
0.6万円/kWh 初期実効容量 |
レジリエンス |
故障や自然災害など有事の際のレジリエンス 確保の観点から以下の2点を共に満たしている場合
|
0.1万円/kWh 初期実効容量 |
廃棄物処理法上の 広域認定の取得 |
採用予定の蓄電システムの製造、加工、販売等の事業を行う者が、廃棄物処理法上の広 域認定において蓄電池関連製品での認定を 取得している | 0.1万円/kWh 初期実効容量 |
・期間
- 公募期間:2024年3月14日~2024年12月6日(予算上限に達し次第終了)
■ZEH支援事業
ZEH支援事業は、ZEHの定義を満たした住宅に対する補助制度です。補助額は最大100万円ですが、蓄電システムを導入した場合、上限は20万円追加されます。同事業の詳細は、以下の記事をご参照ください。
※参考:「ZEH」とは?補助金・住宅ローン控除について【2024年版】
②東京都
家庭における蓄電池導入促進事業
家庭における太陽光発電による電気の自家消費の増大と非常時のエネルギー自立性の向上を目的とし、東京都が都内の住宅に新規に設置された蓄電池システムにかかる費用に対して助成を行う事業です。
・対象製品
SIIに登録されている設備
登録製品:SII「蓄電システム製品一覧」
・補助額
上限額
- 太陽光発電システムがある場合
以下のうちいずれか小さい額(最大1,500万円)
(a)蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満)
(b)蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円)
(C)助成対象経費の3/4の額
- 上記以外
以下のうちいずれか小さい額
(a)蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満)
(b)蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円)
(c)120万円
(d)助成対象経費の3/4の額
・期間
- 事前申込:2024年5月31日開始
- 交付申請兼実績報告:2024年6月28日から2029年3月30日(17時公社必着)まで
③葛飾区
かつしかエコ助成金
葛飾区の「かつしかエコ助成金」では、葛飾区の住宅への蓄電池設置に対し、20万円を上限に助成対象経費の1/4を助成しています。太陽光発電システム併設の場合は、5万円が加算されます。一方、太陽光発電システムを導入した場合は最大40万円、8万円/kWが助成され、蓄電池併設の場合は5万円が追加となりますので、どちらを主体とすべきか比較・検討しましょう。
なお、かつしかエコ助成金には、次のような助成もあります。
- 高断熱住宅:断熱性能等級5は380万円/戸(ZEHの場合20万円加算)・断熱性能等級6以上は60万円/戸(ZEHの場合20万円加算)
- 蓄電池:20万円(助成対象経費の1/4)
- ビーグルトゥホームシステム(V2H):15万円(本体価格の1/3)
- ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS):2万円/1台
- 高反射率塗装:20万円(助成対象経費の1/4または施工平米×1,000円のいずれか小さい額)
- 断熱改修:20万円(助成対象経費の1/4)
・期間
- 事前申込:2024年4月1日から2025年3月31日まで【必着】
※高断熱住宅を除き、工事前の申し込み必須。太陽光発電システム・家庭用燃料電池(エネファーム)・ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)・ビークルトゥホームシステム(V2H)・宅配ボックス・蓄電池付き建売住宅の購入については、引渡し前の申し込み必須。
④江戸川区
江戸川区の蓄電池設置の補助金制度「気候変動に備え、脱炭素を目指す補助金」は、2024年4月16日に受付を開始しましたが、翌日には予定件数に達し、受付を終了しています。なお現在、太陽光発電システムについては、別途50件の募集を予定しているとのこと。募集時期が決まり次第、区のホームページでお知らせがあるものと見られます。
⑤足立区
足立区の「蓄電池設置補助金」も、申請件数が非常に多く、2024年6月6日に早期受付終了となりました。
葛飾区・江戸川区・足立区で蓄電池の補助金を利用するときの注意点
蓄電池設置への補助金制度を利用するときには、次のような点にご注意ください。
予算上限に達し次第終了となる補助金もある
江戸川区や足立区は、受付開始間もなく終了となりましたが、補助金の助成には予算が組まれているものです。受付期間内であっても、予算に達し次第、終了となるケースもあります。子育てエコホーム支援事業やDR補助金なども、予定より早く受付終了となる可能性があります。
併用できない補助金がある
基本的に、同じ事業者が行っている助成制度の併用はできません。一方、区と国、区と都など、それぞれ支援制度の主体が異なる場合は原則的に併用できます。たとえば「かつしかエコ助成金」は、国による「子育てエコホーム支援事業」や都による「家庭における蓄電池導入促進事業」との併用が可能です。
建築前の申請が必要になる場合がある
申請時期は、補助金制度によって異なります。たとえば、足立区の補助金制度は設置後に申請するものでしたが、葛飾区では原則、工事前の申し込みを必須としています。登録事業者などを通して申請を行う補助金もあります。補助金制度を利用する際には、適用期間や適用条件だけでなく、申請のフローも併せて確認しましょう。
太陽光発電と蓄電池で高性能な住宅を
現在は、国や自治体が省エネ性能の高い家づくりを後押ししていることから、2024年の蓄電池設置に対する補助金は非常に手厚いものとなっています。ニーズの高さから、早々に受付を終了した制度も見られますが、国や都、区の制度をよく確認し、お得に蓄電池を設置しましょう。
セイズは、デザインと機能性を両立させた
高耐震デザイナーズのZEH住宅を造り続けています。