ハウスメイキングラボ(住宅コラム)
Vol.35 日差しで冬でも暖かい住宅を作る方法
誰だって寒い家には住みたくないものです。冬になるとひんやりとした空気が生活しづらくさせてしまいますよね。
日本の家は、少しでも部屋の温度を温かく保つように窓が南向きになるよう作られがちですが、ただ窓を南向きにするだけでは不十分だと言われています。ここでは冬場に効率よく採光し、夏場に遮蔽するための家づくりについてご紹介します。
家のある場所や状況について考える
冬暖かく夏涼しい家を作るには、家を設計する段階で方位や窓の位置、軒(のき)や庇(ひさし)などについて考慮しなければいけません。しかし方角に合わせた設計はするものの、敷地に合わせて建てることがほとんどで、窓の良さを十分に活かされることは少ないと言えるでしょう。
夏場の日差しの遮蔽と、冬場の採光をしっかり考慮することで、住みごこちのよい快適な家、そして低燃費な住宅となるのです。具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか?
太陽の向きを把握する
“太陽は朝、東から上り、昼は南そして西へと沈んでいくもの”と思いこんでいませんか?実際の太陽の動きを説明すると、もっとも日が長い夏至の日の出は北東から昇り、南の高い位置を通って北西へ沈みます。では、反対にもっとも日が短い冬至はというと、日の出は南東から昇り、南西へ沈みます。
このため、夏は涼しく寒い冬に太陽の暖かい日差しを可能な限り込むためには、太陽の動きを意識して家を30度ほど西に向けてみると効果的です。南側にくることの多い大きな窓が若干西向きになるため、夏の強い昼間の日差しを避けることができますし、早朝から朝日が家の中に差し込むことを防げます。
またスペースがある場合は、家の東側・南側・北西側に落葉樹を植えてみましょう。夏場の朝昼の強い日差しや、厄介な西日を木が遮断し家が温まってしまうことを防ぎます。落葉樹は冬になれば葉が落ちるため、冬の日差しを家の中まで通すことができます。もちろん冬、西日となる南西の方角には樹木を植えていないため、ふんだんに光を取り入れることが可能です。
庇と窓の位置で差し込む日射を調整
日差しを活かすには「窓の上の庇をどれぐらいにするか?」「 屋根をどのようにするか?」という点も大切です。先に紹介したように、日差しは角度や方角が季節によって異なるため、庇の長さを調整することで夏は直射日光を防ぎ、冬は太陽熱を取り込むといった工夫ができます。
日差しシミュレーションで採光具合を確認する
最近ではコンピューターで家をモデリングし、実際室内にどれくらい日差しが入るのかをシミュレーションすることができます。工務店の担当者や設計者と相談しながら窓の位置を決められるのは非常に有意義なことです。
住宅の並びや敷地の向きに合わせて家を建てた場合、隣近所と似たような場所に窓がきてしまい、目が合ってしまうということもあります。これを気にしてカーテンを閉めっぱなしでいる方も少なくありません。カーテンを閉めていては太陽光を取り入れることができなくなってしまいます。前述したように家を30度西側に向けることで、周りの視線も気にすることなく太陽光を取り入れることができます。
カーテンを開け、外から太陽光や風を受け入れることで、エアコンなどの設備だけに頼らない快適な空間が生まれます。このように自然のエネルギーを最大限に利用した住宅は「パッシブデザイン」と呼ばれ、地球環境に優しい住宅づくりにつながります。
設備や資材だけでなく家を建てる向きなどによって、過ごしやすい家にすることができるでしょう。家を建てる際は、“30度西向きの家”を検討してみてはいかがでしょうか。
セイズは、デザインと機能性を両立させた
高耐震デザイナーズのZEH住宅を造り続けています。