ハウスメイキングラボ(住宅コラム)
Vol.3 住宅の断熱性・気密性を表すUA値・Q値・C値とは?【2024年版】
住宅会社のホームページやチラシで、「UA値」「Q値」「C値」という言葉と、一緒に表示されている数字を見かけたことはありませんか?
「H28省エネ基準」や「ZEH」、「認定低炭素住宅」だけでも???なのに、これは何を表すものか。
実は「UA値」「Q値」「C値」、いずれも住宅の性能を表す、重要な単位。その意味を知ると、分譲・注文を問わず住宅の購入、新築するとき、より快適な住まいを手に入れるヒントになるのです。
今回は、UA値とQ値、そしてC値について説明します。
UA値は断熱性の指標
住宅の断熱性を語る上で欠かせない用語にUA値があります。平成25年に改正された省エネ基準で初めて登場した言葉で、建物の断熱性能を表す数値です。日本語では「外皮平均熱貫流率」といい、単位は「W/㎡K(読み方:ワット・パー・ヘイベイ・ケルビン)」となります。※ K(ケルビン):絶対温度の単位で℃と同じ意味。
建物の内側から、壁や天井・屋根、床、窓(これらをまとめて「外皮」と呼びます)を通じて外部に逃げていく熱の量(熱損失量)を、外皮面積の合計で割って計算します。参考までに、ここで言う外皮とは、建物において断熱された部位を指し、天井・外壁・窓・床など室内と外気との境界になる部分のことを指します。したがって、2階建ての建物の1階天井や2階の床は断熱する必要がないので外皮とは呼びません。
UA値の「A」は「Average」の「A」で平均です。天井、外壁、窓、床等の部位のU値の平均を表すのがUA値ということです。ですから、まったく同じ断熱仕様でも建物ごとに部位面積は異なりますので、UA値も建物ごとに計算しないとわからない値となります。数値的には熱的に弱い窓等の開口部も含まれますので、UA値が0.5以下で高断熱、0.3以下で超高断熱といえるのではないでしょうか。ちなみに建築物省エネ法という法律において示された建設地ごとに必要とされるUa値の基準値は以下の通りです。(必要とされるだけで義務ではないですが)
主に北海道:0.46W/㎡K以下
主に北東北:0.56W/㎡K以下
主に南東北:0.75W/㎡K以下
主に関東以西:0.87W/㎡K以下
主に沖縄:基準なし
UA値が小さいほど熱が逃げにくい、つまり断熱性が高いことを示します。東京(6地域)に家を建てる場合、省エネ基準だとUA値0.87が基準になるのに対し、ZEH基準のUA値は0.6。ZEH基準のほうが、高い断熱性を要求していることになりますね。なお、鉄骨住宅と木造住宅を比較すると、鉄は木よりも 350 倍も熱を通しやすい性質があります。木造住宅であれば柱の間や壁の中に断熱材を充填するだけでもある程度の断熱性を確保できますが、鉄骨住宅ではそうはいきません。構造体自体が外の暑さ寒さを家の中に伝えてしまうため(heat bridge、熱橋)、外断熱を施す必要があります。
Q値との違いは?
住宅の断熱性能には、UA値以外にも、「Q値(熱損失係数)」で断熱性能を表すこともあります。平成25年の省エネ基準改正前までハウスメーカー・工務店の間では頻繁に使われていた言葉ですが、現在は、省エネ基準など国がUA値を指標として採用しているので、UA値での表示が主流になっています。
改めてQ値とは、建物の断熱性能を表す指標で「熱損失係数」の略称です。建物内外に1℃の温度差があった場合に家全体から逃げていく熱量を延床面積で割ったもの、それがQ値で、天井、外壁、窓等の部位を伝わって逃げる熱と換気によって失う熱量の合計を延床面積で割ると算出されます。単位床面積当たりの熱損失量を表しますので値が小さいほど熱損失量が小さく、断熱性が高くなるのは、UA値と同じです。
平成25年の省エネ基準改正前の省エネ基準では
主に北海道:1.6W/㎡K以下
主に北東北:1.9W/㎡K以下
主に南東北:2.4W/㎡K以下
主に関東以西:2.7W/㎡K以下
主に沖縄:3.7W/㎡K以下
と示されていました。省エネ基準とはいえ、義務ではなく、最低でもこの数値をクリアすれば良いという、比較・参考程度の基準でした。しかし、これをクリアしただけで高断熱を謳う住宅が沢山ありました。Q値はあくまで比較のための計算値なので、Q値が小さくても寒い家がたくさんあるのも事実です。
高断熱住宅のメリット
■外の寒さ、暑さの影響が少ない
断熱性が高いと、室内から熱が逃げにくくなります。冬は、暖房で温まった室内の空気が冷えにくくなりますし、夏場も、エアコンの涼しさが失われにくくなります。また、エアコンをオフにしても、室温がすぐに上下するようなこともありません。快適なのは言うまでもなく、エアコンの効きも良くなるので省エネ・光熱費抑制にもつながるのです。
■結露が生じにくい
昔の住宅では当たり前だった結露は、室内の空気が、窓などから伝わってくる外気温の影響で冷えることで発生します。外の温度が室内に伝わりにくい高断熱住宅では、結露の心配もほとんどありません。
■健康に良い
冬、暖かいリビングから寒い廊下や洗面所を通って、暖かいお風呂に入ったりすると、血圧が短時間で、急激に上下することで意識を失ったり、ひどいときには脳疾患を引き起こすこともあります。これをヒートショックといい、年々多くの人が亡くなっている(交通事故死より多い)のです。
高断熱住宅は、家の中で大きな温度差が発生しないため、ヒートショックのリスクを低減します。
また、風邪をひきにくくなる、アレルギー症状が改善した、などの事例も報告されており、健康に良い影響を与えることが実証されつつあります。
C値が表す気密性
UA値やQ値とセットで表示されることの多いC値。実際、住宅関係のチラシの多くは「高気密高断熱住宅」と書いてありますが、高気密であるかどうかを判断する指標がC値です単位は「c㎡/㎡(読み方:ヘイホウセンチ・パー・ヘイベイまたはセンチヘイベイ・パー・ヘイベイ)。
C値が表わすのは、躯体の「気密性」。簡単に言えば、すき間の多さです。床面積1㎡あたりのすき間の面積を表し(C値1.0=1㎡あたり1㎠のすき間がある)、小さいほど気密性が高くなります。
C値は、JIS A 2201にその試験方法が示されていますが、送風機を使って建物内外に圧力差を生じさせ、圧力差と送風量を計測することで家全体のすき間面積が測定します。測定されたすき間面積(c㎡)を延床面積(㎡)で割ると相当すき間面積C値が求められ、値が小さいほどすき間が小さいことになりますので気密性が高いということになります。UA値やQ値は計算で求めますが、C値は専門家が、専用の機械を使って実測(気密測定)します。もちろん世界基準を目指すセイズでもお客様にお引き渡しを行う住宅すべてにおいて、1棟1棟、”気密測定”を実施しています。これはお客様にしっかりとした気密性能の住まいを提供できているということを、お客様にご納得、ご安心いただくことが目的になります。この気密測定で出た検査結果に関しては、お引き渡し時に正式な資料としてお渡しさせていただきます。
では、そもそもなぜ住宅を気密化する必要があるのでしょうか?次の章で簡単に説明します。気密化の目的は、大きく4つあります。
気密性が高いメリット
(1)すき間風によるエネルギーロスの低減
建物にすき間があると、当然そのすき間から空気が出入りします。特に冬場、暖房でどんなに室内を暖めてもその暖められた空気がすき間から逃げ、冷たい外気がすき間から入れば寒さを感じますし、暖房効率を失うこととなるのです。暖かい空気は軽いため、天井などのすき間から逃げ、その代わりに床廻りのすき間から冷たい外気が入ってきます。どんなに暖房を強く運転しても足元が寒い家、そんな家は断熱もそうですが気密がともなっていないのが原因です。ですから、すき間を少なくすることで暖房の効率を上げ、同時に暖房にかかるエネルギー・光熱費を抑えられます。
(2)断熱材の断熱効果を最大限に発揮させる
断熱材は、その中にある空気をできるだけ静止させることによって、その保温性を生み出しています。つまり、どんなに優れた断熱材をどんなに厚く使ったとしても断熱材の周辺や内部で空気が移動してしまえばその断熱効果が発揮されないということです。断熱材に入り込む空気をシャットアウトして断熱材の断熱効果を高める、これが気密化の二つ目の目的です。
(3)内部結露の防止
プラスチック系の断熱材とは違い、グラスウールなどの繊維系断熱材は通気性があり、空気とともに水蒸気も通します。冬期、暖房により暖まった室内の空気は、水蒸気もたくさん含んでいますから通気性のある繊維系断熱材の中を通ると外気側で冷たくなり、壁の中で結露してしまいます。この現象を内部結露といい、直接目に見えない部分での結露ですので、気づいた時には壁の中がカビだらけだったり、木材が腐っていたりと建物に深刻なダメージを与える現象です。シックハウスの原因にもつながるため、これを防ぐために断熱材の室内側に防湿シート等を張ることで、室内の水蒸気が壁の中に入らないようにします。
(4)換気効率の向上
どんなに性能の良い換気設備を導入してもすき間だらけの住宅では、空気が好き勝手に出入りします。24時間換気換気の基本的な考え方は、室内の汚れた空気をゆっくりと排出しながら、新鮮外気によりゆっくり希釈し、室内を清浄に保つことです。汚れた空気を排出したいのに新鮮空気が入ってきてしまう、あるいは新鮮空気を導入したいのに入ってこないなど、換気経路における不安定な漏気や気流のショートサーキットを防ぎ、安定した換気を実現させることが気密化の4つ目の目的です。
この他にも、高気密を実現することで、以下のメリットが考えられます。
・家が長持ちする
躯体にすき間が多いと、外から空気が壁の中に侵入すると同時に、室内の空気も壁を通じて外へ流れ出ていきます。冷たい外気と暖まった空気が接すると、窓と同様、壁の中でも結露が発生します。柱や梁、土台、断熱材が結露で濡れてしまい、カビが生えたり木材が腐る原因になりかねません。
・冷暖房の効率を改善
家の中から空気が逃げ出さないので、冷暖房の効きも良くなります。断熱性を高めるだけでは、実は不十分で、高気密とセットになってこそのものなのです。
・防音にも効果
すき間がないので、音が漏れ出たり、入ってくることがありません。外を通る車や、隣家から出る騒音をシャットアウトし、室内で遊ぶ子どもの声やテレビの音が近所迷惑になる心配も無用です。
以上のように住宅の気密化には省エネ性や室内空気質に関わる重要な目的がありますが、現在の省エネ基準では定量的な基準が設けられていません。その理由はC値が小さいだけでは上記4つの目的すべてを達成することができないからなのです。
(1)と(4)は、すき間が小さければ達成されますが、(2)は、気密層によりすき間が0でも断熱材が連続して施工されているとは限りません。また(3)はすき間がゼロであっても防湿対策がなされていなければ水蒸気が壁内に侵入してしまうため、壁内結露が防げないことになります。つまり、単純にC値を小さくすることが住宅の気密化ではなく、断熱材をすき間なく施工し、防湿対策もした結果、C値も小さくなり住宅の気密化がなされたということになるのです。
Q値、C値、UA値は、住宅の断熱性能を判断するための重要な数値です。なかでもUA値は、その住宅が省エネルギー基準で示されるどの区分に該当するかを判断するための根拠となります。具体的にどう数値によって成り立っているか、ということまで理解する必要はありません。しかしUA値という数値は打ち合わせなどでも耳にすることが多いと思います。概要だけでもあらかじめ頭に入れておくことをおすすめします。高性能住宅を選ぶには、UA値やC値の知識が欠かせません。どんな意味なのかを知っておくだけでも、あなたの住まい選びはきっと変わるはずです。
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