ハウスメイキングラボ(住宅コラム)
Vol.89 住宅の湿気対策は日本では必須! 梅雨や夏の湿気に負けない家づくり
6月近くになると梅雨シーズンが到来します。
毎日のように雨が降る梅雨は、湿気が増して住宅にカビが繁殖してしまう恐れがあります。また、梅雨が過ぎれば高温多湿の夏になるため、さらに注意が必要です。このため、住宅には湿気を防ぐ工夫もしなければいけません。
ここでは、住宅づくりに活かしたい湿気に強い家を作る方法についてご紹介します。
換気の方法を工夫する
近年の技術の向上により、高気密で高断熱の住宅づくりが可能になりました。ですが、この技術の向上がかえって湿気がこもりやすい原因になっています。
現在の住宅は壁の内部に断熱材が入っているため、壁の外側と内側で寒暖差が生じやすく、断熱材の中で結露してしまう「壁内結露」が起きてしまうことがあります。壁内結露は断熱材にカビが発生してしまいますし、断熱材が木材などと触れていれば、その木材が腐ってしまう恐れがあるため注意が必要です。
湿気を取り除く最もシンプルで簡単な方法は換気です。晴れていれば、窓を開けて外の風を通すことで室内の湿気を取り除くことができますが、雨が降っていたり夏場だったりする場合はそう簡単にはいきません。
住宅を新築する場合は、簡単に換気設備を整えることができるため、“風の通り道”や“換気”について良く考えることが大切です。
納戸や物置、ウォークインクローゼットの通気性・換気
納戸や物置、クローゼットなどでは、扉にガラリ(※)を設けただけで、換気としては不十分だというケースがあります。空気の出入り口を一か所設けただけでは、湿気はその場に留まってしまうためです。もともと、納戸や物置、ウォークインクローゼットは頻繁に出入りする場所ではないため、結露やカビが発生しやすい場所なのです。
換気の基本は、空気の入り口と出口がそれぞれ設けられていることです。ガラリやスリット(空間)が取り付けられた扉の場合は、部屋の正面奥や、対角線上の壁に窓やガラリを設置しましょう。
換気・通気口が離れているほうが部屋全体の空気が換気しやすくなります。
※ガラリ……幅の広い羽根板をブラインドのように斜めに並べたもの。外からの光や視線を遮りつつ換気することが可能です。
部屋には2つ以上窓を付ける
寝室や個人の部屋には換気するポイントを3つ作るようにしましょう。
まず、部屋の入口(扉)が1つ目のポイントです。2つ目は、扉を入った正面の突き当りに窓あるいは換気扇をつけてください。納戸や物置であればこれで十分なのですが、部屋の場合は面積も広く扉を閉めることも多いため、もう1つ窓が必要になります。3つ目のポイントは、入り口扉と2つ目の換気の窓(換気扇)との位置関係が、二等辺三角形になる場所につけます。
換気するポイントが3つになることで通気性が増し、扉をしめても窓を開けることで換気が可能になります。
床下を常に乾燥しているような構造にする
土は冷えやすく、またその土に触れた空気は結露しやすくなります。このため、日が当たらず、気温もそこまで上がらない梅雨時は注意が必要です。
家を湿気から守るためには、次の3つの対策を検討しましょう。
・床下にも換気口を設ける
・地面に防湿シートを敷く
・地面に防湿用コンクリート(厚さ60㎜以上)を打つ
家を建てる際は、設計する段階で家の構造や換気口について専門家とよく相談しておきましょう。湿気対策に効果があるとされている調湿性のある自然素材を利用するというのも良いかもしれません。
換気と素材を組み合わせることでより効果の高い湿気対策となるでしょう。
セイズは、デザインと機能性を両立させた
高耐震デザイナーズのZEH住宅を造り続けています。